込江保次税理士事務所■横浜市栄区・鎌倉市大船

2006年04月12日の記事

2006年4月12日(水) 17:57

シリーズ新会社法□「新会社法」って何?

現在「会社法」と言う名の法律はなく、「商法第2編(会社)」「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法)」及び「有限会社法」を統合して新たに「会社法」としてつくられたもので、平成17年6月27日に公布され、平成18年5月1日施行される全979条からなります。

この会社法の主な特徴だけでも以下のように多岐に渡る内容があります。
口語体表記
「本法ニ於テ会社トハ商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル社団ヲ謂フ」(商法第52条)のような文語体が「会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる」(会社法第1条)のように口語体表記となり、非常に読みやすく又わかりやすくなります。
有限会社の株式会社への統合
会社法の施行により有限会社が設立できなくなり、以後はすべての会社組織(合同会社を除く)は株式会社しか設立することができなくなります。
最低資本金制度の撤廃
通常の設立の場合、株式会社は1000万円以上、有限会社は300万円以上の資本金が必要でしたが、最低資本金制度が無くなり資本金1円でも株式会社を設立することができるようになります。
会計参与制度の創設
これまでも株式会社には設置しなければならなかった監査役とは別に、新たに会社の内部機関として取締役とともに会社の計算書類を作成する任務を負う会計参与という役員を設置することができるようになります。
機関設計の自由化
これまでの株式会社では取締役3名以上、監査役1名以上を設置しなければなりませんでしたけれども、有限会社のように取締役1名だけでも株式会社を経営できるなどその会社の機関を会社自身で自由に決めることができるようになります。
定款自治の徹底
機関設計の他、株式譲渡の制限の有無、役員の任期や責任の範囲、株主総会の招集や議決権に関することなども、その会社自身で決めることができるようになると同時に、定款に記載することにより徹底させる必要があります。
合同会社制度の創設
日本版LLC(Limited Liability Company)と呼ばれる法人格を持ちながらも出資者の合意によって内部組織や利益配分の方法などをかなり自由に決めることができる合同会社や、既に昨年8月に先行して施行されたLLP(Limited Liability Partnership)と呼ばれる法人格を持たずに組合の構成員に対して課税される(パススルー課税)有限責任事業組合が創設されます。
会社設立が容易に
最低資本金制度が撤廃された他、500万円以下の現物出資については検査役の調査が不要となり、金融機関に発行してもらう株式の払込金保管証明も発起人の残高証明書で可能となり、同じ市区町村内での同一営業目的の会社は類似した商号の登記をすることができない類似商号規制などがなくなったことなどにより、新たに会社を設立することも容易になります。
計算書類の改正
「貸借対照表」において資本金の額などを表示していた「資本の部」が「純資産の部」となり表示方法も変わりますし、「利益処分案」が廃止されて期中の株式の増減や配当金の支払いなどを記載する「株主資本等変動計算書」を作成することになります。
そこでこれから何回かに分けて、主に中小事業者(現行の有限会社及び現行の確認有限会社/株式会社)や個人事業者(将来の法人成り)向けとして、又これから起業を考えている方や今回の会社法施行を機に経営形態の簡素化を検討されている現行の株式会社なども対象としまして、この会社法について簡単に説明をしていきたいと思います。

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