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2007年4月6日(金) 09:18

減価償却制度の抜本的見直し

3月30日付けの官報に掲載されました改正政省令で、予定されておりました減価償却制度の大改正が明らかになりました。
平成19年4月1日より前に取得(正しくは事業に供用)した減価償却資産か、平成19年4月1日以後に取得(同上)したものかにより、その処理方法が大きく異なります。

平成19年4月1日以後取得(事業供用)の資産の償却方法
□ 定額法の場合
減価償却費=取得価額×1/耐用年数
残存価格として備忘価額(1円)は償却せず残す
例)事業年度:4/1-3/31、取得価額:1000万円、取得日:H19/4/1、
  耐用年数:10年、償却率:0.100
H19年度:10,000,000円×0.100=1,000,000円
H20年度:10,000,000円×0.100=1,000,000円
H21年度:10,000,000円×0.100=1,000,000円
H22年度:10,000,000円×0.100=1,000,000円
H23年度:10,000,000円×0.100=1,000,000円
H24年度:10,000,000円×0.100=1,000,000円
H25年度:10,000,000円×0.100=1,000,000円
H26年度:10,000,000円×0.100=1,000,000円
H27年度:10,000,000円×0.100=1,000,000円
H28年度:10,000,000円×0.100= 900,000円 ← 備忘価額:1円

□ 定率法
減価償却費=未償却残高×(定率法の償却率×250%)
一定期間経過後以後、残存年数により均等償却へ切り替えて備忘価額(1円)まで償却する
例)事業年度:4/1-3/31、取得価額:1000万円、取得日:H19/4/1、
  耐用年数:10年、償却率:0.250(0.100×250%)、改定償却率:0.334、保証率:0.04448
まず先に償却保証額(取得価額×保証率)を計算します
 → 1000万円×0.04448=444,800円
H19年度:10,000,000円×0.250=2,500,000円
H20年度:7.500,000円×0.250=1,875,000円(期首未償却残高:7,500,000円
H21年度:5,625,000円×0.250=1,406,250円(期首未償却残高:5,625,000円)
H22年度:4,218,750円×0.250=1,054,687円(期首未償却残高:4,218,750円)
H23年度:3,164,063円×0.250=791,015円(期首未償却残高:3,164,063円)
H24年度:2,373,048円×0.250=593,262円(期首未償却残高:2,373,048円)
H25年度:1,779,786円×0.250=444,946円(期首未償却残高:1,779,786円)
H26年度:1,334,840円×0.250=333,710円(期首未償却残高:1,334,840円)
※ この事業年度で 償却費 < 償却保証額 となるので、この事業年度以後は
  定額法(均等償却)により償却費を求めることになります
  償却費(この事業年度の期首未償却残高×改定償却率):1,334,840円×0.334=445,836円
H27年度:445,836円(同 前事業年度)
H28年度:1,334,840円Δ445,836円×2Δ1円(備忘価額)=443,167円


平成19年3月31日以前取得(事業供用)の資産の償却方法
償却可能限度額(取得価額×5%)まで償却した事業年度の翌事業年度から5事業年度で備忘価額(1円)まで均等償却できる
例)H18年度で償却可能限度額(1000万円×5%=50万円)に達した資産の場合
H19年度:100,000円(500,000円÷5=100,000円)
H20年度:100,000円
H21年度:100,000円
H22年度:100,000円
H23年度:100,000円Δ1円(備忘価額)=99,999円


留意点
平成19年3月31日以前に取得をしても平成19年4月1日以後に事業に供用した場合には、新しい計算方法によります
この改正は国税(法人税、所得税)についてのものですので、地方税(固定資産税、償却資産税)についてはこれまで通りの償却方法により計算することになります


今回の改定に伴い拙サイトの減価償却の「償却率表」も変更いたしました。

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